専業大家に取って嬉しい制度の「小規模企業共済制度」とはどういったものか、しっかり押さえておきましょう。
こんにちは!ビジベース管理人の『キク』(@busi_base)です。
賃貸経営や不動産投資を収益の柱としている専業の大家にとって、少子高齢化や人口減少、空室率の悪化など様々な不安要素は尽きません。
将来に備えて貯えも作っておきたいし、できることなら税金も減らしたい・・と思う方も多いのではないでしょうか?
そんな時におすすめな「小規模企業共済制度」のメリットや加入条件などをご紹介していたきいと思います。
スポンサーリンク
小規模企業共済制度とは?
小規模企業共済制度とは、独立行政法人「中小企業基盤整備機構」による実質国営の退職金積立制度です。
中小企業の為の共済で、賃貸経営を営む地主さんのような個人事業主も加入することができます。
毎月の掛け金は1,000円~7万円の範囲で自由に設定することができ、20年以上継続して掛金を支払えば、給付理由の如何を問わず掛金の100%以上の支給が見込めます。
また、自身に万が一があった際や事業廃業といった場合の保険的な機能や、65歳以上の場合の老齢年金的な機能も備わっています。
20年というと長い期間のような気もしますが、賃貸経営においては特別長い訳でもなく、相性の良い制度と言えます。
なによりこの共済の一番のメリットは掛金全額「所得控除」にできることです。
銀行に積み立てを行っても所得控除の対象となりませんが、共済掛金であれば「経費」として取り扱うことが可能となり、節税効果が期待できます。
所得控除でどれほど節税できるのか
掛金全額が所得控除できることが、一番のメリットとお話しましたが、それではどれほどの効果があるのでしょうか?
実際の計算をみながら検証してみましょう。
例.共済掛金が毎月7万円で共済掛金以外の必要経費控除後の収入が1,000万円の場合(※個人事業主の場合。実際には申告方法など各種条件により税額は異なります。)
①未加入の場合
収入1,000万円-基礎控除38万円=課税所得金額962万円
課税所得金額962万円×税率33%-課税控除額153.6万円=所得税163.86万円
②共済掛金が毎月7万円の場合
収入1,000万円-共済掛金84万円-基礎控除38万円=課税所得金額878万円
課税所得金額878万円×税率23%-課税控除額63.6万円=所得税138.34万円
①163.86万円-②138.34万円=25.52万円の所得税の節税となります。
さらに、住民税税率は10%ですので、控除分の84万円に対して8.4万円の節税となります。
以上から所得税+住民税=339,200円もの節税効果があるという結果になります。
その他の税制面のメリット
所得控除のメリットに目が行きがちですが、その他にも税制面でのメリットがあります。
個人事業主にはそもそも退職金制度がなく、退職金優遇税制の恩恵を受けることができません。
しかし、この制度を利用すると、65歳以上で事業を取りやめ、老齢給付として共済金を受領する際には、一括で受領すれば「退職所得」扱いとなり、税制面での優遇を受けることができます。
受領を分割にした場合でも「公的年金等」として扱うことが可能で、こちらも優遇税制があります。
死亡時には死亡退職金扱いとできるため、相続税の退職金非課税枠(法定相続人数×500万円)を使うことも可能になります。
この共済制度はもしもの際の相続税対策にも有効なのです。
また、65歳未満での受取であっても一時所得として扱えるので、雑所得よりも低い税額で済ませられます。
加入条件
以上のようにたくさんのメリットがある共済金制度ですが、注意していただきたいのは、この共済には「加入資格」がある点です。
加入が出来ない代表的なケースとして、以下の5つが挙げられます。
・賃貸経営が事業的規模(5棟10室以上)ではない
・賃貸経営が「主たる事業」ではない
・兼業で事業を行っているサラリーマン大家
・専業主婦など
・学業が本業である学生
他にも様々な加入できないケースがあります。
なぜならこの共済はあくまで税制優遇の少ない小規模企業向けの1制度だからです。
まとめ 加入条件を満たしていそうな方は是非ご検討を!
加入条件さえ満たしていれば、賃貸経営オーナーにとって非常に魅力的な制度と言えます。
未加入の方は加入条件を確認の上、一度ご検討されてみてはいかがでしょうか?