「2022年問題」をご存知でしょうか?
賃貸住宅市場においても影響が出ることは避けられません。
こんにちは!ビジベース管理人の『キク』(@busi_base)です。
この2022年問題の大きなキーワードになるのが「生産緑地」です。
生産緑地の解除が原因で不動産の価格の下落・賃料の下落の可能性が問題視されています。
まずは生産緑地を理解し、2022年問題に関してまとめていきたいと思います。
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生産緑地とは?
まず2022年問題を語る上で「生産緑地」について正しく理解しなければなりませんが、そもそも「生産緑地」とは何でしょうか?
東京などで農業を営んでる方はご存知でしょうが、地方ではなじみがないかもしれません。
対象となるのは主に三大都市圏の市街化区域の農地です。
市街化区域は街づくりを推進すべき区域なので、農地でも本来は宅地並みの固定資産税が課せられます。
しかし、これでは本当に農業を営む方が立ち行かなくなってしまうため、生産緑地としての指定を受け、固定資産税を一般の農地同等まで軽減する制度です。
・主な対象・・三大都市圏(首都圏・近畿圏・中部圏)の市街化区域の農地
・指定要件・・農業の継続が可能であること、500㎡以上の農地であること。
※平成29年6月15日付けの「都市緑地法等の一部を改正する法律」が施行されたことにより、市の条例として制定されれば、面積は300㎡から可能になります。
・効果・・市街化区域内でも固定資産税が一般の農地並み(宅地の数百分の1程度)に軽減される、相続税の納税猶予が受けられる。
・行為制限・・農地として管理しなければならず、宅地造成や建物建築は不可
※平成29年6月15日付けの「都市緑地法等の一部を改正する法律」が施行されたことにより、市の条例として制定されれば、地域内の農産物を用いた物品の製造・加工・販売、レストランのための施設を設置できるようになりました。
・指定解除・・主たる農業従事者の死亡等により農業継続が困難となった場合、または『指定から30年』以上が経過した場合に『市町村長に買い取りを申し入れる』ことができ、それにより解除される。
※2018年4月1日から特定生産緑地制度の施行により、市町村から「特定生産緑地」として指定を受ければ、引き続き農業を継続する場合、10年間は固定資産税の農地課税、相続税も納税猶予制度が適用され、さらに10年経った後にも指定を更新できるようになりました。
『市長村長に買い取りを申し入れる』とありますが、実際に買い取りしてもらえるケースはほとんどなく、申請から3ヶ月の経過をもって、農地転用などの一定の手続きの上、建物の建築も可能で自由に売買できる土地となります。
そして多くの生産緑地が『指定から30年』を迎えるのが『2022年』なのです。
2022年問題とは?
2022年問題とは生産緑地に指定された大都市圏の農地の多くが、2022年に宅地として市場に大量に供給されることにより、価格の下落・賃料の下落が懸念される問題のことを言います。
固定資産税が大幅に軽減されるとはいえ、主たる農業事業者も高齢となる中、農業継続を選択する人が果たしてどれだけいるでしょうか。
農業以外に使えない土地を持て余し、30年という年月を心待ちにしていた方も少なくないはずです。
生産緑地の指定解除を受けた土地が、一斉に宅地として市場になだれ込んでも不思議ではありません。
国交省の「平成26年都市計画現況調査」によると、生産緑地の総面積は全国で13653.7haであり、東京ドーム2,900個分以上の広さがあります。
もちろん、30年経過後も農業を続け、生産緑地の指定を継続することは可能ですし、全てが宅地になる訳ではありませんが、現在も空き家問題が深刻な状態で、更なる供給過剰を招くことは明らかであり、ある程度の地価の下落は覚悟しなければなりません。
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資産組み換え、購入のチャンス?
さて、マイナス面が先行しましたが、メリットも考えられます。
それは、市街地の物件を安価に調達できるかもしれないということです。
直接的な影響は少なくとも、大都市圏の地価下落は地方にも波及するはずです。
地方の物件は2022年問題の前後に売却しておき、その後割安となった大都市圏の物件を購入する・・なんて都合が良いかもしれませんが、もしかしたら生産緑地の指定解除は資産組み換えや購入の大きなチャンスとなる可能性が秘められています。
まとめ 今後の法令・制度改正にも注目!
ご覧いただいたように、2022年以降に市場に宅地が大量供給されるかもしれません。
しかしここ数年、国は生産緑地の保護や市場の混乱を防ぐのを目的として、「特定生産緑地」を初めとした法改正も頻繁に行われています。
今後の生産緑地の動向にもしっかり注目していきましょう。
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