賃貸経営にも影響が出そうな主な改正ポイントをしっかり押さえておきましょう!
こんにちは!ビジベース管理人の『キク』(@busi_base)です。
2017年5月に120年ぶりに民法改正が成立し、施工は2020年6月2日の予定となっています。
ルールが変わるわけですから、改正当初は少なからず混乱が起きることも予想されます。
不動産投資・賃貸経営にも影響する主な改正点の4大ポイントを早めに確認しておきましょう。
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敷金の返還義務、原状回復ルールの明文化
不動産賃貸のなかで法律上、最も関連が深いのが「敷金」でしょう。
既にご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、これまで民法上、敷金の定義は明確ではありませんでした。
しかし、改正案では「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」と定義されました。
つまり「賃料等の担保」として預かるという意味です。
また、敷金の返還についても、賃料の未払分や故意・過失による損傷の修繕費用等がない限り、賃貸借契約が終了し物件を明渡す際に全額が返還されることが明文化されます。
民法に明文化されることで借主の意識が高まり、退去時精算ではシビアな内容説明が求められそうです。
また、退去時のルームクリーニング費用などは、特約で明記しない限り取得できなくなります。
ただ、これらは国交省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」や東京都「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」の内容に沿ったものであり、敷金返還義務や原状回復のルールに関して、多くのケースでは実際にはこれまでと変わりません。
修繕の義務と権利
現在の民法では、賃貸人による「修繕義務」が規定されています。
賃貸人は常に不具合を修繕し、正常な物件を提供しなければならないということです。
改正案では「但し、賃借人の責めに帰すべき事由によってはその修繕が必要になったときは、この限りではない」という文言が追加されます。
一方「賃借人が自ら修繕することのできる要件」が明文化されます。
賃貸人が修繕の必要性を知ったにも関わらず相当の期間内に必要な修繕をしないとき、あるいは急迫の事情がある場合には、賃借人が自ら修繕できるとしたものです。
これらは以前から判例などで認められていた行為で、無過失の賃借人が負担した修繕費用は賃貸人に請求することができます。
これらが明文化されることにより、法律関係が明らかになります。
その結果、賃借人が「勝手に」修繕するといったトラブルが起こらないよう、修繕できる範囲、賃貸人への通知方法、相当期間等を具体的に特約で整理しておく必要があるでしょう。
部屋・設備の一部滅失や利用不能等の場合、賃料は「当然に減額」
「エアコンが動かない」・「お風呂が使えない」といった場合、これまで借主は「減額請求できる」とされていましたが、改正によって、借主に落ち度がない限り「当然に減額される」と改められました。
不具合発生、イコール即賃料一部免除となるのです。
ただし、どのぐらい減額すべきかなど具体的な部分は現状何も定められていません。
金額を巡ってトラブルになりかねないだけに、まずは不具合の起こらないようしっかりメンテナンスを行っていきましょう。
※住宅設備の耐用年数や寿命の目安などは経年劣化した設備機器は耐用年数・寿命を見て故障前に交換しよう!をご覧下さい。
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連帯保証人の保証の極度額の定めが必須に
保証の極度額について、連帯保証人との間で「最高で賃料○○ヶ月分」・「上限○○万円」など、保証の限度額を設定しなければならなくなります。
この設定が抜けると契約の保証に関する部分が全て無効となり、連帯保証人がいないことになってしまいます。
ですので従来の契約書には条文の追加が必須となります。
まとめ 民法改正の動向には注目していこう
民法改正で特に大事なポイントをお伝えしてきましたが、共通しているのが契約書等の内容が変更又は追記が必要になるということです。
通常契約書の作成は不動産会社に任せていると思いますので、心配はないですが、ご自身の目でも内容はしっかりチェックしましょう。
また、民法改正の施行が近づくにつれて、より注目度が増していきますから、今後も動向には目を光らせつつ、今のうちにしっかりと内容を押さえ、大家として慌てることがないように準備していきましょう。